3年目のヨコハマ保活

3年続いた保活が2021年に終了しました。2年目からは激戦区港北に突入し、とりあえず終了しました。

閑話休題121 市民の声事業から在園児きょうだいときょうだい同時申請を利用調整で同じランク(優先度)にした理由

市民の声事業は時間が経つと消えがちなので、回答の一部を抜粋して残しておきます。

タイトルのほか、多胎児の取扱いクレームもあるので、2番目に転記しておきます。

 

クレームというか要望の内容は在園児きょうだいを優先して欲しい旨と来年の利用調整で今年別園になった在園児のきょうだいを優先して欲しいということです。

 

横浜市 市民局 広聴相談課 「市民の声」の公表(詳細)

 

保育所等の入所における利用調整に関する基準については、社会情勢やニーズに応じて随時見直しを行っております。

これまでは、既にきょうだいが利用している園を申請する場合においては、ランクの一つ引き上げ、及び調整指数4を適用する取扱いとなっており、複数のきょうだいが同時に申請する場合には調整指数3を適用する取扱いとなっておりました。取扱いの差があることからも、既にきょうだいが利用している場合と比較して、きょうだいが同時に申請する場合は、同じ園に利用決定できないケースが多くありました。

本市としましては、同時申請の場合であっても、既にきょうだいが利用している場合であっても、送迎や園行事への参加など、きょうだいが揃わないことによる保護者にかかる負担は同様であると考え、この度、同程度の配慮とする基準改正をいたしました。既にきょうだいが利用している場合の配慮は維持しつつも、各ご家庭の状況に関わらず、多子世帯全体において、きょうだいが同園に通えるように優先的な取扱いを拡充したものとなりますので、ご理解いただけますと幸いです。

(中略)

引き続き、横浜市子ども・子育て支援事業計画に基づき、保育施設・事業を拡充していくとともに、いただいたご意見を参考に、今後もより公平な利用調整基準・手続きとなるよう努めてまいります。

 

要約すると、

在園児だろうが同時申請だろうが園が違う大変さは一緒。同時申請きょうだいについて、同園決定率を在園児きょうだいと同じくらいにしたいと思って改正した。

ということです。これまできょうだいが同園になりやすくなる改正と聞いていたので、在園児きょうだいも同時申請も両方合わせての同園決定率が上がるというシミュレーションを根拠に実施した改正だと勝手に思っていたのですが、この説明からは少なくともきょうだい同時申請の同園決定率が上がるだけで、全体としてきょうだいで同園に通える家庭の割合が増えるとも限らないという印象を受けました。在園家庭に親でも殺された人が市役所にいるのでしょうか。

 

現行制度下で在園児きょうだいが同時申請と同様の有利さで保活しようと思うと上の子の転園は覚悟せざるを得ないので、その点保育施策としてそれで良かったか、結果として在園家庭が覚悟できず同時申請より不利になっていないかというのは検証すべきかと思います。

AAで近所は手当たり次第申し込んだ家庭と同じランクで1園しか踏み切れなかった家庭の結果が異なってくるのは当たり前のことなので、それを在園児を理由に特定園だけ申し込んだのは自己責任みたいな話にすると、1人目を入れようとしている家庭からも反発を呼ぶのではないかとは感じます。

まあ私はあまり世間一般の感覚に鋭くない方なので、知らんけど。

 

より公平な利用調整基準・手続きとなるよう努めてまいります。

そして利用調整基準は、より公平な方に行くそうです。

回答からは横浜市が目指しているのは手続の公平(同じ優先度とすること)なのか、結果の公平(同じ同園決定率とすること)なのか私には読み取れませんでした。言っているのは結果も手続も公平じゃなかったからとりあえず手続変えましたというだけです。

制度設計上はどっちを目指すのかが大事だと思うのですが、決めずに走り出したんでしょうか。行先もわからぬまま。自由になった気がした15の夜。

 

次は多胎児編。みんな特別扱いが好きです。投稿要旨的に、投稿者には、従前の制度では多胎児より在園児きょうだいが優先されていたという認識がない可能性もあります。こちらも回答の一部だけコピペ。

横浜市 市民局 広聴相談課 「市民の声」の公表(詳細)

 

今回の改正は、多胎児と多胎児以外のきょうだいの差は設けていませんが、同時に同じ園に申請する場合には大きく優先度を引き上げる改正としておりますので、多胎児を育てるご世帯であっても、きょうだいが同園に決まりやすくなると考えております。

(中略)

いただいたご意見は、今後もより公平な利用調整基準となるよう検討していくうえで、大切な視点とさせていただきます。

 

この回答と前の回答を比較してわかるのは、多胎児は取り出して同園決定率の検証がされて決定率が低かったから改正対象になったわけではなく、とりあえず公平な何かを目指して手続をフラットにして見ようという実験的精神から巻き込まれて改正されたということです。

 

そして横浜市は従前同園決定率が低かったかどうかは知らんけど、ランクアップしたんだから、決まりやすくなるという波及効果があったはずだという説明です。

 

多分前回の改正に多胎児の同園決定率はどうこうとかいう視点は、純粋に全然なかったのでしょう。これはポジティブに捉えると、従前そこまで課題として認識されていないくらい、ある程度良い結果が出ていたということではないでしょうか。これで横浜市の言う通り有利になっているのであればこのようなクレームは不当であるはずです。

 

横浜市のリアクションについて着目すると、在園児きょうだい家庭と多胎児家庭のどちらの投稿要旨からも各属性を優先すべき明確な理由が私には読み取れないのですが、多胎児については大切な視点とさせていただくそうです(プライバシーの観点で載せられない投稿内容かもしれませんが)。

 

私の理解では多胎児は養育に単胎児より困難が伴うことが多いため、公平とは異なる福祉の観点で優先されるべきであるという趣旨のクレームであり、なんなら多少公平を犠牲にする話なので、回答の公平な基準を目指すために大切な視点は言ってる意味がわからないのですが、担当者の温度感が表れており中々趣深いですね(公平を目指しているから参考にしないという意味ならいけずすぎる。)。

 

 

色々言いましたが、難しい問題ですね。理想は全員同園ですが、保育園の上が多くて下が少ない定員構成上、一定程度幼児クラスに下の子がいない子が入園してくれないと誰かは別園になってしまいます。

では全員同園パズルを解くために必要な下の子がいない幼児はどうやって供給されるのかというと、下の子として入って持ち上がってくるか、一人っ子として入ってくるかがメインでしょうか。

そして、このパズルでやってはいけないのは人気高めの幼児クラスに未就園(在園でない)の下の子がいる子を入れることです。

今恐れられるのは、現行制度では一人っ子が積める点数の上限が低すぎて人気園は一人っ子が入りにくくなっており、その代わりにきょうだい同時申請で未就園(在園でない)の下の子がいる子が入ってしまう現象です。さらに片方入れば入園させつつ育休を続けられる制度の創設により、進級により下の子の枠が空くのを待つ、ジグソーパズルではなく落ち物系というのか、何かゲーム性が進化しているという可能性があります。

 

それで次に何に進化するかというと、転園によりきょうだいを入れ替えて解消する的なゲームにしてくるのではないかと思うのですが、一保護者としては、転園前提でクリアを目指すのはやめて、配点の妙で初期配置での全員同園を目指すやり方にして欲しいです。

そういう意味では年度限定加点や認可外加点には一人っ子を人気園に入れ、バランスを維持する要素があるのではと期待していますが、保留児童調査結果を見ると、年度限定の利用者(枠)は少ないので、効果は限定的で、事業所内や企業主導型の加点をもう少しあげるバランス調整をするといいのではないかなと思います。

小規模加点は…入る時は一人っ子なのですが、加点を使う時には下の子が出来ている確率がものすごく高そうなのであまり期待していないです。

 

まあそんな感じで在園児きょうだいを優先する理由はなくても、全員同園パズルでは下の子のいる幼児の入園を不遇にする理由は実はあるんですが、現実問題として子どもははパズルのピースでも何でもないですし、そもそも改正において重視されるのは公平性だという説明であって、全員同園パズルのクリアを目指してはいない(児童養護的な意味で保育の必要が高い家庭などの福祉の観点があるため、それだけが目標とはならないはず)ので、相当強いデータでもない限り、横浜市はゲームバランスの調整みたいな軽薄な理由で利用調整基準を改定することはできないでしょう。

だから、やっぱり何らかの公平性を実現したルールのもと、転園ありきのパズドラみたいな解決策に今後なるんだと思います。転園がある時点で同園じゃないじゃん(神奈川弁)と私としては思うのですが、横浜市的には別園状態が生じなければ同園だということがパブコメの回答からも見えていますので、そこの認識がそうな限り、こうなりますね。

とはいえ、長期的に見れば希望もあります。横浜市が利用調整基準において、大まかにどのような結果を目指してルールを変更しているのかは、厚労省の通知などに沿って設定している以外、かなり不明だったのですが、タスクフォースの分析以降きょうだいが同園になりやすい状況であるべきということが明文化されだしたのは、在園児同時申請どちらにとっても悪いことではないです。データ分析の話としてこれを取り上げたのであれば、改正後の検証がなければ不自然な状況となります。

今年の利用調整基準の改定は年度限定のランクアップの影響なども含めてその辺のデータを公表しつつ改定案のパブコメに入って欲しいですね。