3年目のヨコハマ保活

3年続いた保活が2021年に終了しました。2年目からは激戦区港北に突入し、とりあえず終了しました。

きょうだい別園割合と2022年4月横浜市保育園入所者のデータ分析

なんだかんだ、とっくにタスクフォースのデータ分析は下記のとおり出ていたのに読みもしなかったのですが、保育園車送迎における幼児死亡のニュースの際にきょうだい別園が話題になっていたのでダラダラ読んでいたら、全くまとまりのない文章になりましたが、見直す気力もないので投稿。

港北区には全く関係ない話しかありません。

保留児童実態調査報告書もまだまだスルー中です。

横浜市の待機児童対策 横浜市

 

タスクフォースの説明資料によれば、保留児童の27.1%がきょうだい申請。言い換えれば27.1%がきょうだいが在園しているが入園できていないか、きょうだい同時に申請したがどちらか、もしくは両方保留だというということです。これは保留児童なので、おそらく現状別園で転園申請したが成立しなかった家庭は含まれていません。

データから見る保育所等申請のヒント~横浜市保留児童対策タスクフォース分析結果から~ 横浜市

 

上記のページからの説明資料には記載がありませんが、10月の子ども子育て会議保育教育部会の資料ではきょうだい別園になっている割合がタスクフォースの分析として記載されています。

きょうだい児は、ランクや利用調整指数が上がる仕組みとなっているにも関わらず、令和3年4月時点のきょうだいでの利用者の1割 は、きょうだい同士で競合したため、同一の園を利用できていない状況であり、

https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/yokohamashi/org/kodomo/sonota/shingikai/kaigi/kokokaigi.files/221005bukai.pdf

横浜市子ども・子育て会議 会議資料・会議録 横浜市

 

以前何かのネットニュースでも横浜市の保育担当者はそんな割合を回答していましたので、特に驚きの数字でもありませんし、きょうだい同士で戦いが生じているのも周知の事実です。

 

更にこれ以外にもきょうだい申請に関する情報が載っていますので引用します。

  • 申請園数は平均 3.4 園で、きょうだいが在園児は 2.9 園と少なく、 46.3%(114 人)が単願だった。また、このうち約8割が在園児と同園を希望していた。
  • 保留児童に当該者が占める割合は、都筑区が 40.2%と最も高かったが、当該者の単願が 58%を占めていることが理由に考えられる。保留児童の割合が少ない中区は 17.3%など、区による違いが見られた。
  • 多胎児は 18 組 37 人が保留となったが、申請園数は平均4.5園で、全体平均(4.4園)との違いは見られなかった。

きょうだい在園で単願の場合、同園希望ではないケースが2割もいることに一瞬驚きましたが、在園児が小規模園の場合、下の子は認可園希望で、上の子は卒園時に卒園+在園児のダブルランクアップとなるため小規模残留というケースや、育休延長狙い(育休延長希望にチェックを入れた家庭は分析対象から除外されていますが一方で復職の意思を確認できない家庭という謎の層は含まれています。)というケースもあると思いますのでそんなものかもしれません。

 

多胎児で三つ子が保留になっていそうな点も興味深いです。

 

きょうだい申請はランクや加点的には有利なはずであり、都筑区保留児童175人の4割がきょうだいということは、保留児童の希望園のボーダーは相当高かったということなのか、都筑区ではランクの高くない家庭がきょうだいで申請することが多いのか。

「保留児童の割合が少ない中区」という言葉からは対比された都筑区は保留児童の割合が中区より高い区であることがうかがえます。しかし、この申請がフルタイム就労家庭なのかそうでないのか何もわからないので、このデータを持って保活の辛さを感じるというものでもないですが。

 

ところで、横浜市は保留となった在園児きょうだいは申請園数が少ない傾向にあるとしていますが、それ以前に居住区による申請園数の方がばらつきが多いというデータ(不思議なことにこのデータは記者発表資料の説明資料の方が詳しいのです。)を出しています。都筑区は前述の状況から明らかに保留児童の平均申請園数が少ない傾向にあり、中央値のラインに至っては、見当たらないので25パーセンタイルの位置にめり込んでいるものと思われます。

一方港北区は保留児童であっても平均5園を超えて市内で2番目に多くなっています。

 

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横浜市都筑区の保留児童に占めるきょうだい申請の割合が高い理由を単願が多いから、としています。私は最初に読んだ時に前に書いてある文章を引きずって在園児きょうだいの話であり、在園児きょうだい申請の割合が高いのでは、と受け取ったのですが、都筑区全体の申請園数が少ない傾向にあることに加えて在園児きょうだいの傾向も影響し、単願率が非常に高くなっていると言いたいのでしよう。中央値の下限値へのめり込みがきょうだい児の単願率の高さの現れだと言うのであれば凄まじい話です。

https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/koho-kocho/press/kodomo/2022/0909_taskforce.files/0002_20220909.pdf

説明資料2(5)の箱ヒゲ図を改めてみると鶴見、西、中、金沢、都筑区は最も多く希望園を書かれる傾向のある1歳児の保留児童でも、下位25パーセンタイルの位置が単願になっています。

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※1番下のグレーラインが0園でその上が5園。0園申請は理論上ないので、各区最小値は1園となるが、その位置に箱があることは25パーセント以上が単願であることを示す。中区の1歳児保留児童最大申請園数3園はインパクト。個人的に港北区と戸塚区が激戦二強のようなイメージを抱いていたが港南区の切迫感はすごい。

 

保留児童は市全体全年齢平均で27%が単願であること踏まえると25%超えは不思議ではないのですが、これら5区以外は25パーセンタイルの位置が2園以上であることを見るに、1歳児に限った市内単願率はもっと低いのではないかと思われます。鶴見区都筑区等は、中央値ですら2園(中区は中央値1園?!それできょうだい児は単願傾向なしとなると…)で単願傾向が強いということです。

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そして1歳児入所児童の下位25パーセンタイルの位置が2園であることをみると都筑区は入所児童においても他区に比べて少ない申請園数をキープしていることがわかります。港北区は4園です。中央値や平均値から、1番少ない傾向があるのは金沢区ですかね。鶴見区は入所児童と保留児童で申請園数の傾向が異なりますね。

 

都筑区は育休延長を容認する層が厚いのかきょうだい同園や同一法人に強いこだわりを持つ、こだわり派の性質があるのか、駅遠の住民が多いのか、理由はわかりません。駅遠に関しては、横浜市における鉄道駅1km圏と人口密度(H22)https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/machizukuri-kankyo/kotsu/tetsudo/tetsudo-plan/tetsudoukeikaku.files/0006_20180920.pdfや最寄駅まで15分で到達できるエリア(同じファイル)を見る限り、旭区ならわかるけど、都筑区はそうでも…?と思います。

東山田や川和町など保育園の選択肢がそもそも多くない駅もありますから、もっと地域的な分析が必要なのかもしれませんね。

 

希望園数の傾向はデータとして受け止めても、自分の周りが本当にそうなのかは、自宅周辺住民へのフィールドワークにより判断した方が良さそうです。

 

記者発表資料の説明資料には、港北区では32園希望しても保留になった1歳児家庭がある、一方60園希望した1歳児家庭は保留にはならなかったといったインパクトだけはある断片的な情報がのっていますが、この箱ひげ図以外は、子ども子育て会議の資料の方が情報が多い気がします(役に立つかはわからない。)

 

きょうだい児の保留具合に区別で差があるなら、入園ボーダーにも地域差が相当あるのではと思うのですが、残念ながらランクに特化した分析はありません。

短時間就労者・求職者・内定者等の分析では、これらの対象者をおおむねEランク以下と説明しており、このグルーピングをEランク以下と捉えると保留児童の40パーセント超はEランク以下ということになり多少気が楽になる方もいると思いますが、きっと区ごと地域ごとの濃淡がすごいので、だから何だというのが正直な感想です。

本要因のような利用調整のランクが低い方(概ねEランク以下)は就労形態などから一時保育等でも対応可能な場合もある。多様な預け先の一つとして、一時保育等の拡充が求められる。

短時間就労はそもそもDランク以上であり、内定でEランクは就労開始したらCランク以上、最も多い求職者は就労したらフルタイムからパートタイムまで混合ということを考えると言ってることがわからない、低ランクでのグルーピングに対して一時保育の拡充を言うには、保育開始と就労開始の期間の余裕や保育を必要とする理由そのものが違いすぎるため、分析が足りない気がします。求職内定者利用開始者のその後のランクの変動とか分析はしないのでしょうか。

横浜市の認識が「対応可能な場合もある」だけであれば、それはそういう場合もありますよね…という話です。しかし、横浜市はもう少し飛躍した認識を持っているようで、記者発表資料の説明資料では「利用調整のランクが低い方には、短時間や複数日の保育で対応可能な方が多く」という表現になっています。

ここでの結論は、乱暴に解釈すると、保留児童の多くがEランク以下なら認可園の新設の必要はなく、一時保育の枠拡充で足りるということになります。

認可園のみ希望する家庭の通園可能エリアに小規模園がないかどうかについては保留家庭ごとに非常に丁寧に調査している一方で低ランク保留家庭が一時保育で対応可能かどうか分析した手法の紹介や結果のデータは見られないのです。

2年連続保留になるのは、きょうだい同園希望と低ランクがツートップであると横浜市は分析している一方で、低ランクに対する分析が荒くなっているのでは…という不安を覚えました。

 

現行の一時保育は、認可園の保育料が7万円台になるひとりっ子家庭にとっては、収入に関わらず日あたりの定額で利用できるため割安ですし、多胎児のリフレッシュ利用に至っては無料なので、財政的に厳しくないならいくらでも増やせば良いと思います。

出勤日数が多く一回の労働時間が少ないタイプのパートタイマーには、日額制の一時保育は旨みが少なく、タイムチャージ制の乳幼児一時預かりが料金的にはマッチするのですが、月15日までしか利用できないなど、現行ルールは拡充の余地があります。一方でこのタイプは通園に時間がかかる園に通うと、保育時間と実就労時間のバランスが悪くなり投入した税金に対して家庭の満足度も低い(一時預かりでお弁当など作った場合、受益者は準備にかける時間も負担する)という結果になるので、行政として頑張って拡充することがどれだけ報われるかは未知数ですし、どういう働き方が一時保育で対応可能なのかモデルケースを提示した方が良さそうです(行政の考える対応可能のレベルが明確になるため)。そして、前述の働き方を希望する方は、今のところ、近場に一時保育の空き枠がある園がない限り、幼稚園に入れるまで待つか認可園に入れる場所に引っ越すか、会社内に保育園があるところに就職するのがコスパ良さそうです(いずれも大仕事)。

 

労働者にとっては継続的な保育サービスの提供を確約してもらえることが労働時間数関係なく何より大事なのですが、月極的に枠を取ってくれている一時保育の園もあるという噂はあるとはいえ、継続的利用枠に対する制度的な後ろ盾は何にもないのも不安要素です。特に乳幼児一時預かりは、一時保育と異なり担い手は認可外施設であり、ここのところの多様な働き方のニーズに応えるなどと言って内閣府がやり出した企業主導型の衰退具合や、地場で実績を積んだ認可外施設である横浜保育室を認可移行させた流れを見るに、迂闊に拡充して大丈夫か?指導監督できるのか?認可外減らしたのはなぜ?本当に対応可能か?など、アクセルとブレーキが同時に踏まれたような落ち着かない空気を感じます。

 

一時保育の拡充は本当に喜ばれるのか。ずっとフルタイムワーカーの世界で生きているやつに何も言う資格はないとは承知ですし、共働き世帯だけが保育という公共事業の恩恵を受けるのは平等ではないのではというのがここ2、3年の内閣府とかの会議の流れであると思うのですが、それともちょっと趣きの異なる打ち出し方なので(地域子育て的な事業は横浜市はそれはそれである)、この分析で大丈夫か?と。

 

横浜市では要支援と判断した家庭のきょうだいを別園に入園させて結果不登園気味になり、その後重篤な虐待が発生したといったような報告書を公表していたこともあったので、きょうだい同園には、一般市民の利便性とは別の観点での力の入れ方があるのか、余計にギャップを感じてしまいます。

 

求職者は求職と口で言っているだけでほとんど就労しない、内定者も短時間がほとんどだ、というのが分析結果なら上記の結論もあり得ますが、それなら別の対応もセットで必要な気がするんですよね。

 

全くきょうだいと関係ない都筑区と低ランクの話ばかりになりました。兎に角タスクフォースの分析には保育施策には役立つのかもしれませんが、保活にはほとんど関係ないかと思います。シンプルにどの程度のランクがあれば入園できるのかを公表してほしいです。